令和6年度 福祉事業所体験会 レポート
2024年8月21日、葛城市のゆうあいステーション(福祉総合ステーション)にて、福祉事業所体験会が開催されました。
当日は、当事者、支援者含めて、約60名近くの方にお越しいただきました。
体験会の様子を、本HPの運営担当・ACADEMIA大和高田の鳥取がお伝えします。
今回の体験会では、障がい者福祉に関わるさまざまな事業所のブースが、20近く設けられました。
また、会場の中心線に沿ってイスを並べ、いつでも休憩できるようにしているのが、福祉のイベントらしい配慮だと思いました。
13:30に開会すると、来場された当事者や支援者の方々が、各ブースを興味深そうに回っていかれます。
あちこちで、出品物をきっかけとしたブースのスタッフとの会話が始まりました。
会場内は混雑するほどではないので、それほど待たされることなく、時間をかけたコミュニケーションが取られているように見えました。
また、出展者同士の交流も見られました。
すでに過去の体験会で知り合っていたり、こうした機会を生かした横の繋がりも生まれているようです。
今回からの試みとして、ブースごとに数分ずつ自己紹介のスピーチをしていきました。
熱意の伝わるスピーチが多く、それぞれの事業所をより身近に感じることができた気がします。
スピーチの後、興味を持った方がそのブースを訪れる光景も見られました。
それでは、それぞれのブースの様子についてレポートします(順不同です)。
・就労継続支援B型 障がい者就労支援センター ポルテの森
ポルテの森では、約4町歩(約4ヘクタール)もの農地でお米の栽培をされているそうです。
農薬を使わないので、除草だけでも大変な作業となります。
それだけに、充実した体験となるでしょう。
これまでの経験を生かし、剪定をされている利用者の方もおられます。
疲れるけど好きな作業だと、語っておられたのが印象的でした。
・就労継続支援B型 あっとほーむ香芝
あっとほーむ香芝では、洗濯物たたみなどの内職作業をされています。
施設に通うのが不安な方も、体験内職があるのでチャレンジに踏み出せそうです。
展示の写真では、利用者の方々の充実した姿が見れました。
リラックスしていて、居心地がいいのだろうなと思いました。
・就労継続支援B型 夢スペースかぐや
夢スペース かぐやでは、きれいなネイルチップやかわいらしいハンドメイド雑貨を展示しておられました。
ネイルチップは相当な数があり見ごたえがありました。
さらに、6年間育てたブルーベリーが、いよいよ収穫できるようになったそうです。
スピーチではその喜びが伝わってきました。
来年からはブルーベリー狩りも企画しているそうです。
・就労継続支援B型 NPO法人 えん 高田駅前作業所
えんの作業所はJR高田駅から2、3分のところにあります。
駅からすぐだと通いやすく、利用できる方も増えると思います。
作業所では、自分に合ったペースで軽作業ができるそうです。
ちいさくかわいらしいフェルトボールを展示されていました。
作業手順を展示されていましたが、同じ大きさのボールをきれいに作るのは、慣れるまで大変そうです。
その分、できるようになると達成感があるでしょう。
・就労継続支援B型 社会福祉法人萌 えいぶる
えいぶるでは、内職作業の他にお菓子作りをしておられます。
また、大和高田市の市民交流センター(コスモスプラザ)喫茶コーナーでホール担当と販売もされています。
接客は大変そうですが、充実した時間になるかもしれません。
施設では、その日の調子に合わせてご飯だけ食べにくる人もいるそうです。
ご飯だけでも食べにきたくなる、居心地のいい場所なのでしょうね。
・就労継続支援B型 マインドホーム高田
マインドホーム高田では、軽作業の他に、「高田温泉 さくら荘」の清掃作業、地元紙「中和新聞」の配達や、畿央大学の売店での販売などもされています。
どれも地域に密着した活動ですね。
大学生相手の接客は大変かもしれませんが、いい刺激になりそうだなと思いました。
・就労継続支援A型 ACADEMIA大和高田
ACADEMIA大和高田のA型事業所では、デザインとWebサイト制作をメインに行っています。
事業所のホームページも利用者が制作したので、ブースに来られた方にその場で見ていただき、制作者本人が説明をいたしました。
また、事業所のロゴや体験会で配布したちらしのデザインも、事業所内で話し合いながら、利用者がデザインしたものです。
・就労継続支援B型 Coco-Make葛城
Coco-Make葛城では、実践的な作業として、焼き菓子・ジェラート・ドレッシング等の製造販売や農耕作業、軽作業などを行っているそうです。
ジェラートやドレッシングはきちんと包装されている上に種類が豊富で、生産に力を入れられているのが伝わってきます。
そうして生産したものを実際に販売するのは、やりがいに繋がりそうだと思いました。
・就労継続支援B型 社会福祉法人萌 おかわり
おかわりは、片塩商店街で「なごみカフェ」を運営しておられます。
カフェでは、ホールの接客、洗い物、ドリンクの提供と清掃、片付けなど、さまざまな作業があって大変そうです。
また、お弁当の製造と配達もしておられます。
お弁当箱の洗浄も大切な作業です。
弊ACADEMIAのスタッフによると、お弁当はボリュームたっぷりだそうですよ。
・就労継続支援B型事業所 のん樹
のん樹のかわいらしい編みカゴは、目が見えない利用者の方が作られたそうです。
動物のカゴは子どもやかわいいもの好きの女性が喜びそう。
オーダーメイドも受け付けており、花屋さんやお菓子屋さんからの依頼があったとのこと。
利用者の方は、楽しく張り合いを持って制作しているそうです。
人懐っこい盲導犬を撮り忘れたのが痛恨です。
・就労継続支援B型 まんなり大和高田
大和高田駅から徒歩2分のまんなりでは、軽作業を中心にしており、手作り作品の作成もしておられます。
細やかに作られたきれいな作品が目を惹きます。
展示では、施設内の様子や作業風景などが多数の写真で紹介されていました。
事前に知りたいことを知ることができる親切な展示だと思いました。
・就労継続支援B型 ふれあい作業所
ふれあいの会では、利用者の方がさをり織りをされています。
ブースの前で、織り機を一心に操っている姿が印象的でした。
そうして織った布を使って、さまざまなグッズを作っておられます。
色とりどりのグッズは、織物の味わいもあって、どれもかわいらしいものでした。
どんぐりの帽子を使ったストラップは、特にかわいらしく女の子に喜ばれそうです。
・就労移行支援 DC nara(ディーキャリア 奈良オフィス)
「訓練・就職活動」を支援するために、自分のことを深く知るツールをいくつも用意されていました。
価値観キーワード集では、大量の単語の中から自分が大切にしたいキーワードを見つけ出します。
カード分類シートでは、さまざまな職業が書かれたカードを「やってみたい」「どちらでもない」「やりたくない」に分類することで、仕事に対する意識の傾向を探っていきます。
こうしたツールで自己認識を深めることが大切なのだなと思いました。
・就労継続支援B型 コネクト
コネクトでは、クラフト、デザイン、お菓子の製造販売、測量、内職など、さまざまなことに取り組んでおられます。
今回出展しておられたクラフトは種類が豊富で、ホッとするかわいらしいものばかり。
丁寧に編み込まれたちいさな編みカゴは、高い技術がいるのだろうなと思いました。
根気よく制作する集中力が養われることでしょう。
・ハローワーク大和高田
就職活動に欠かせないハローワークが、障がいのある方の相談窓口の説明などをされていました。
・大阪府立夕陽丘高等職業技術専門校
精神障がい、知的障がい、発達障がいの方々に向けた職業訓練を、大阪でしておられます。
訓練内容の体験や訓練内容の説明をされていました。
随時、受講者の募集をされているとのことです。
・就労移行支援 UTジョブズ大和八木
UTジョブズ大和八木では、ご本人の個別の事情に合わせた就労移行支援を行っています。
今、就職に繋げる支援が必要な方。まずは人と交流するところから始めたい方。
ヒアリングを通じて、その方が必要とする支援を探していきます。
・きづきアーキテクト株式会社
遠隔操作ロボ「トビィ」と対話しながら、飛鳥時代にちなんだゲームを進めていく「飛鳥クエスト」。
この「飛鳥クエスト」では、外出困難な方が、自宅などのパソコン・スマホから「トビィ」を演じる大切な役割を担います。
実物のキャラクター(人形)を介してコミュニケーションすることで、モニタ越しのリモート通話とは違った実感が得られることでしょう。
9月10日からクラウドファンディングに挑戦し、遠隔操作ロボ「トビィ」の制作、映像制作に繋げたいそうです。
・行政相談ブース
行政相談ブースでは、障害福祉サービスの手続き等についてや、障害福祉サービス(就労移行・就労継続A・B型)の内容ついての説明をしていただきました。
おわりに。
今回の福祉事業所体験会には、多くの事業所の出展があり、大勢の当事者、支援者の方々が来場されました。
伝えたい、知りたい、そんな熱意が双方から伝わってきて、この体験会のような場が必要とされているのだとあらためて認識しました。
体験会ブース出展事業所一覧(PDFファイル)