中和地区3市1町自立支援協議会就労支援部会 企業見学会 レポート
中和地区3市1町自立支援協議会就労支援部会
企業見学会 レポート
【見学企業名】公立大学法人 奈良県立医科大学
【日 時】令和4年10月4日(火),5日(水)14:00~16:00
【参加人数】:10月4日(火)12名 10月5日(水)10名
【参加機関】:行政機関、養護学校、福祉サービス事業所(移行支援、A型、B型)
障害者職業センター
【企業見学会の目的】
・障害者雇用をされている企業における実践について学び、障害者雇用を支えるための仕組みを考える上で、支援機関それぞれの立場として担える役割を検討する。
・働かれている障害のある方が、働き続ける上でどのような想いで働いているのか、どのような工夫をされているのか、支援者に期待することは何かを学び、個々に合った働きや暮らしを支える仕組みについて検討する。
普段、係員が行っているタオル折り業務や他の業務の体験や見学もさせていただきました。
【タオル折り体験】
担当の係員よりタオルの折り方の説明をしていただきました。
まずは髪の毛や汚れがない事、タオルのほつれがない事を確認し折っていきます。所定の折り方で10枚1セットを作ります。
私自身も折り方が間違っており、「その折り方は違います」と指導を受けました。
10枚1セットを丁寧に袋に入れ包装し完了。所定の箱に入れて1セットが終了となります
≪感想≫
折り方など慣れないうちは難しく感じました。また髪の毛や汚れの見落としもあり係員より細かく指導を受けました。
【ポリ袋のチャックを開け、また袋に戻す仕事の体験】
薬剤師の方などが薬を入れるのにすぐに包装できるように下準備をする仕事です。薬だけでなくほかの用途にも使用することもあるそうです。
100枚のポリ袋を取り出し、全ての袋のチャックを開け元の袋に入れなおします。
≪感想≫
筋力の弱い人、手にしびれ等がある人は難しいのではと感じました。
普段使わない筋肉を使う感覚があり200枚ほど行ったところで手に疲れを感じました。
【その他見学させていただいた仕事内容】
・手術で使用するシーツを指定の大きさに切り揃える仕事
・ドクター宛てに来た講演会出演などのメールを仕分ける仕事
【対談形式での講演】
岡山氏より、これまでの雇用の経緯や雇用管理等についての報告等と障害者雇用として働いている方より、質疑応答を通してどのような想いで働かれているのか、対談形式で行った。
障碍者雇用推進マネージャー:岡山弘美氏
係員:Kさん(精神障害) 係員:Kさん(知的障害) 係員:Kさん(発達障害)
○係員への質疑応答
【ここに就職することになった決めて、理由はなんですか?】
【係員:Kさん(精神障害)の回答】
就ポツから医大での障碍者雇用があるから実習行ってみますか?と言われ2週間の実習に行き、ここで働きたいと思いました。
実習で担当したのはタオル畳みと、単発の仕事を受け持ちました。
【係員:Kさん(知的障害)の回答】
高等養護学校の進路の先生から医大の障碍者雇用を勧められ、実習に来ました。
3週間くらいの長めの実習をさせていただき、タオル畳みや病棟を回りました。そこでここでなら働けるなと思いました。
【係員:Kさん(発達障害)の回答】
就ポツから医大の障碍者雇用の実習はどうですか?と言っていただき実習に来ました。
実習の時は全くできていませんでした。不合格だろうなと思っていましたが合格をいただきました。
仕事の内容を覚えるのが大変で、毎日が必死でした。
【養護学校の先生からの質問・学校で最低これくらいは身に着けておいて欲しいことはありますか?】
・【係員:Kさん(精神障害)の回答】
社会人としての最低限のマナーは身につけて欲しいです。
・【係員:Kさん(知的障害)の回答】
他の方とのコミュニケーション力を身につけて欲しいと思います。
・【係員:Kさん(発達障害)の回答】
養護学校の生徒さんの実習担当させていただいていますが、皆さん頑張ってくださっているので僕からは特にないです。
【長く続ける工夫でやっていることはありますか?】
・【係員:Kさん(精神障害)】
与えられた仕事はきっちりこなして、分からないことや問題が起きたときは聞くようにしています。
・【係員:Kさん(知的障害】
報告連絡相談はきっちり行うことをやっています。
・【係員:Kさん(発達障害)】
集中力を切らさないように栄養ドリンクを飲んでいる。
○岡山氏への質疑応答
【障がい者雇用で雇用したスタッフは具体的にはどのような業務に従事されているのですか?】
一番の基本業務はタオル折りをしていただいています。1時間に100枚、一日600枚を目安に採用を行っていますが、体験や実習期間で1日600枚のタオルを折れなかったから
不採用とするわけではありません。
他の業務としては薬を入れる袋のジッパーを開ける作業、ドクターに来た講演会出演依頼をまとめる作業、手術で使用するシーツの切り抜き作業、病棟に行きベッドメイク作業などを行います
【「急遽PC作業をされている係員に見学だけさせてください。」と部会員がお伝えすると柔軟に対応していただきました。どのようなコミュニケーションを取っておられるのですか?】
特に特別なことはやっていません。何かあったら素直にありがとう。とすいません。と言うことは大事にしています。あとは任せています。
最初は出来ません。そんなことをしてもいいんですか?とよく言われました。今まで生きてきた中で認められてきたのが少ないんじゃないかと感じました。
それが積み重なって柔軟に対応出来るようになってきたのかな。と感じています
【訪問を終えて】
訪問させていただき最も驚いたのが、管理者(岡山様)がその場に居らず指示もなく仕事が回っていたことです。自分たちで考え行動を起こす。それをまた新しく入ってきた係員へと引き継いでいく。障がい者手帳というハンデを持ちながら健常者でも問題視されている指示待ちをすることなく、自分たちで考え仕事として行動する柔軟な思考力に感心いたしました
障がい者雇用スタッフが、新しい障がい者雇用スタッフを教育していく。障がい者雇用に限らず、どの職場でも見直さなければいけないシステムだと感じたと同時にこのシステム作りにどれだけのエネルギーが注がれているのかを実感した体験会でした。
障がい者の方たちだけじゃなくて支援者同士がまず方向性を決めて、同じ方向に支援者全員で支援をしていくのが大切であると感じました。
①支援者にも支援力というのは個人差があるため、今日入った新人でも同じ方向性を意識するだけで支援の質は上がると感じました。
②方向性が決まることで、障がい者自身が進めば良い方向が分かる為本人も何をすればいいのかが分かり易い。
③方向性を決めることで、本人自身がやらなければいけないことを見極めることができ、それを任せることが出来るようになる。
④本人たち自身が何を出来るかを把握できるようになるため、〇〇は出来るが△△はできないなど本人たちが判断できるから支援者や説明者が変わっても自身で解決しやすくなる
このようなことを意識されたことが、この医大病院の障がい者雇用の係員は院内でも必要とされ管理者がいなくとも仕事が回るシステムの一端になっており、たくさんのエネルギーが注がれ、訪問中に岡山様が「大変だった」と言われた部分だったのではないかと考えました。