【中和地区3市1町障害者自立支援協議会 令和7年度全体会】
令和8年2月18日(水曜日) 奈良県産業会館にて「令和七年度 中和地区3市1町障害者自立支援協議会 全体会」を開催しました。

開会のあいさつ
代読による香芝市社会福祉課長のあいさつと自立支援協議会会長のあいさつから全体会が始まりました。
活動報告
以下の部会の活動報告がありました。
・就労支援部会
・主任相談支援部会
・こども部会
講演
NPO法人ピュアの種村祐太先生より講演をしていただきました。
タイトルは
「意思表出や意思決定をと育てるために支援者が今できること
~発達障害や強度行動障害の方を中心に~」
です。

はじめに、ピュア様のさまざまな取り組みを紹介してくださいました。
明日香村では、当事者の方々が農業に取り組んでおられるそうです。
発達障害について説明がありました。
現在では、発達障害は脳の障害であることが明らかとなっています。
ライフステージの変化・変更に敏感な方が多く、大きく混乱してしまうことがあります。
こうした際に、コミュニケーション支援が重要となります。
支援に当たっては、当事者と支援者の双方向性両輪が必要です。
当事者からの意思表出、支援者の理解の循環が重要となります。
たとえば、自閉スペクトラム症の方の場合、具体的で明確なことは理解できる一方、抽象的であいまいなことの理解は難しいです。
言葉だけではコミュニケーションがうまく取れず、自信を失い、他人の指示を待つようになってしまいます。
本人の特性に合わせた、より具体的な形での視覚「的」支援が大切となります。
意思決定支援においては、当事者が理解しやすい視覚的情報を用いることで、意思表出、意思表現をしやすくします。
そうすることで、自己選択・自己決定に繋げられます。
文字や写真を使った、意思表出の具体例を紹介していただきました。
しかし、周囲が選択肢を作るだけでは、本人の本当の意思が分からないのではと、限界を感じることがあります。
そこでピュア様では、いくつもの支援方法を取り入れています。
紹介していただいたのは、
・PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)
・PECS Talk(iPadによるPECS)
・リマインダー
・パワーカード
・ソーシャルスキルアルバム
・コミック会話
・筆談
・スマートフォンアプリ
といった表出コミュニケーション支援です。
アプリを多く紹介している、「平林ルミのテクノロジーノート」(リンク)が参考になるとのことです。
PECSによる支援について、実例とともに詳しく説明してくださいました。
絵カードを交換することで、したいことしてほしいことを要求することを少しずつ学んでいきます。
やがて絵カードを並べて、より詳しい要求ができるようになっていきます。
そうして、作業で必要なことを伝えるなど、自発的な意思表出を実現します。
PECSのワークショップは全国でされており、奈良県では保護者のグループがあるそうです。
保護者の方へのインタビューを動画で紹介してくださいました。
日常のコミュニケーションの工夫を語っておられました。
進路は本人が選び、就職でも本人が試したいことに挑戦したので、結果的には挑戦したことがかなわなかったけれども、また次に挑むという糧になったとのことでした。
その後、就職も叶え、今まで6年勤めているとのことです。
ピュア様では、行動援護サービスを通じて当事者の余暇の充実をサポートしています。
事前に手順をまとめておくことで、切符の購入も自分一人でできる例を紹介してくださいました。
iPad PECSでは、iPad上にカードを並べることで、自分の意思を伝えることができます。
コンビニでレジ横の食品の注文をしている動画を紹介してくださいました。
さらに、外出したいという要求も、iPad PECSでできるようになります。
ハルカスに行きたいと要求し、約束した掃除を手順書に沿ってし、無事に外出できた例を紹介してくださいました。
自分でカードを作れるので、さらなる要求が可能になります。
行動援護では、好きなモノ探しに取り組んでおられるそうです。
余暇の過ごし方が分からず困っている方も多いからです。
ある方の場合、ショッピングモールを回りながら好きなモノ探しをしたところ、雑誌に載っていた上空からの眺めの写真に興味があるようでした。
そこでハルカスの展望台に行くと、とても喜ばれたそうです。
種村先生からは、当事者に理解しやすい方法で自己選択、自己決定できる環境を作ることの大切さ。本人の想いを推測するのは難しいので、表出コミュニケーションのスキルを伸ばす支援が重要ということを、講演していただきました。
グループワーク
全体会の参加者の方々には、テーブルごとにグループを作成しました。
そのグループで、講演の内容に沿った、以下の3つのテーマで計3回のグループワークを実施しました。
- 利用者、児童の意思決定で困っている事・難しく感じている事
- 利用者、児童の意思決定をする中で工夫している事
- 今後支援の中で取り入れていきたい事

グループワークが始まると、そこかしこで自己紹介をする姿が見られました。
ぎこちなくはならず、すぐに話し合いが進んでいくグループが多いようです。
皆さん積極的に参加されており、うなずきながら話を聞いておられます。
円滑に会話が進むのは、話を聞くプロの方が多いからかもしれません。
時々笑い声が聞こえるなごやかな雰囲気ですが、真面目に話しておられるのが伝わってきます。
種村先生が見守るようにテーブルの間を回っておられました。
あえて声はかけず、各テーブルの話を聞かれていました
テーブルに用意された紙に、話し合った内容を書き込んでいきます。
それとは別に、個人でメモを取っている方もおられました。
終了時間の3分前になると、話し合った内容のまとめに入ります。
相談しながらまとめているグループもあれば、変わらず話を続けているグループも。
終了時間となっても、熱心に議論を重ねるグループも多かったです。
その後、2回目、3回目とグループワープは進みました。
前の回に書き込んだ内容を読み直し、次のテーマへと発展させていきます。
お互いに話を振っていくので、会話が循環していました。
3回目が終わるまで、皆さん集中力が途切れることなく実りのある話し合いをされたようです。

それぞれの回の後、参加者から発表がありました。
・1回目(意思決定で困っている事・難しく感じている事)
今回のグループワークでは、支援の対象が児童だったり成人だったり、違う立場の方々が同じテーブルに集まりました。
そうすると、重なる悩みを持っている一方、違う部分もあったりと、様々な気づきがあったそうです。
本人が思っていることを言っているのか、どう聞き出せばいいのか、という日々の葛藤があると語っておられました。
・2回目(意思決定をする中で工夫している事)
お互いに悩みを打ち明け、励まし合ったりもしたとのことです。
すでにiPad を導入したものの、運用はなかなか難しいそうです。
それでも、今後の意思決定に生かせたらと考えておられました。
子供によって興味が違うので、それを見つけていく。
子供の頃から選ぶ経験を重ねることが大切だと、考えておられました。
独りよがりにならないよう、チームで考えていきたいとも語ってくださいました。
種村先生から、障害者を支援するテクノロジーを広める、ATAC(リンク)のカンファレンスについて紹介がありました。
・3回目(今後支援の中で取り入れていきたい事)
分からない、教えてくださいと自分から言えるようにするのが大切。
作業の際、何秒止まったら相談すると、具体的にルール化することを考えておられました。
そうして、言えてよかったと思える経験を積んでいってほしいそうです。
小さな頃の経験が大切で、保護者をパートナーとして支援に取り組みたいとの考えも聞かせていただきました。
― グループワーク参加者の感想(A型・B型事業所のサービス管理責任者) ―
- 利用者、児童の意思決定で困っている事・難しく感じている事
成人の事業所では、本人が望んでいること・希望していることが本当に本人にとっていいのか?意思決定ということでなんでも肯定していいのか?という悩みが出ました。逆に児童の事業所では、親の意見が本人の意思として話されるので本人のニーズがどこにあるのか、親の希望になっていないか?という難しさを感じているという意見が多く聞かれました。成人なら成人ならではの悩み、児童であれば児童ならではの悩みがあり、何回か全体会に参加し、グループワークにも参加していますが、毎回出てくる悩みや難しく感じることは同じだなという印象をうけました。ただ、障害福祉に携わっている年数もサービス種別もバラバラだったので、勤務歴の長い方から全体会に初めて参加する方に、支援のアドバイスをされる場面もありサービス種別問わずにつながりがもて、共感・共有できる場面が多くありました。 - 利用者、児童の意思決定をする中で工夫している事
成人の事業所の支援者の方から「本人に意思決定してもらう際、選択肢を絞って呈示するようにしている。その時に、情報の細分化を意識している」という実際の工夫内容が出ました。例えば、出かけた際に「アイス」と「フランクフルト」を呈示した際に「今は夏だからアイスは冷たくておいしいね」や「フランクフルトは○○くんが好きでいつも食べているやつだね」等、具体的にイメージしやすいように情報をより細かくして伝えているとのことでした。種村先生の話にもあったように絵カードだけで理解しづらい場合や言葉だけだとイメージしづらい方もいるので、呈示内容+補助情報というのは利用者さんにとってもよりわかりやすくて意思決定しやすいなと思いました。 - 今後支援の中で取り入れていきたい事
種村先生の講義の中で出ていたアプリを取り入れたい、iPadを導入していきたいという意見が成人・児童問わずに聞かれました。特に場面緘黙の方を支援している事業所がいくつかあり、『こえとら』のアプリはすごく魅力的に本人とのやりとりに使用しますと何名かの支援者が話していました。
児童の事業所ではPECSを取り入れているところはあったが、成人の事業所では今回の講義で初めて聞いたという支援者ばかりであり、それぞれのサービスでの支援内容や利用の意義や意図で使用する支援ツールに違いがでるのかなと感じました。ただ、根気よく行うことで効果が得られそうなので、取り入れていきたいと話す成人の事業所の支援者の方もいて、もっと利用者さんの意思決定をサポートできるツールや手法が色んな事業所に広まるといいなと思いました。全体会に参加して得られたものは自身の事業所にも還元していきたいですし、来年度は現場のスタッフにも参加してもらおうと思ってます。
閉会のあいさつ
社会福祉協議会副会長から、今回のまとめと種村先生への感謝をこめた閉会のあいさつがありました。
今回はお忙しい中、「令和7年度 中和地区3市1町障害者自立支援協議会 全体会」にご参加いただきありがとうございました。
講演、グループワークを通じて、何かを持って帰っていただけましたら幸いです。
レポート: ACADEMIA大和高田 鳥取

